大阪府の吉村洋文知事は30日、29日に感染が確認された大阪市在住の40代の女性ガイドが発症前に、中国からのツアー客を乗せたバスで大阪城や心斎橋などの観光地を訪れていたことを明らかにした。府庁で報道陣の取材に応じた。29日夜の府の担当部署の記者会見では詳細な滞在先は公表していなかった。
吉村知事らによると、女性は12日から武漢市から来たツアー客に同行。15日は大阪市の湾岸部を訪れ、17日に関西国際空港へ送った。そのまま河南省からの別のツアー客を迎え、大阪城や心斎橋エリアを観光した。女性は20日に発熱などの症状が出て、22日にツアーを離れて新幹線で大阪に戻った。
府は28日の対策本部会議で、府内の感染者の滞在場所を市町村別に公表し、マスクをしていないなど感染リスクが高い場合は詳細に公表する方針を決めた。29日夜の府の会見では、厚生労働省が発表していない居住地を大阪市と公表したが、府内での移動状況はほとんど明かさなかった。
女性ガイドは発症後からマスクを着用していたといい、吉村知事による公表は府のルールより踏み込んだ形になる。吉村知事は「府は厚労省と調整しながら客観的な事実を発表する。僕はそれに加え、府民に冷静な行動をしてほしいという思いから、政治家として風評被害にならない範囲で詳しい情報を発表すべきだという考えだ」と説明した。
知事の方針に、ある府幹部は「府民の一人としては情報を開示してもらいたいが、個人情報の取り扱いは行政として難しい問題。もっと症状が重い感染症のときに公表に踏み切るという考え方もある」と明かした。
一方、吉村知事の公表について、大阪市の松井一郎市長は「SNS上は不確定情報がたくさんある。正確な情報を出した方が混乱を抑えられ、心配を少しでも解消できるという判断だろう」と理解を示した。ただし、市では感染リスクが高い場合に限って発表すると強調。女性ガイドの行動範囲について「濃厚接触に当たる場所はない。すれ違う程度では、感染はほぼないと考えてもらっていい」と述べた。【芝村侑美、矢追健介】
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2020-01-30 07:19:23Z
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